白川郷
7月下旬に白川郷に行ってきました。
白川郷は1995年世界遺産に登録されましたが、合掌造にはそれ以前から興味を持っていました。
雪の大洋を往く艦隊のような俯瞰写真はメジャーですね。観光用の写真はよく目にしますし、自分なりにイメージは持っているつもりでしたが、近づくとさすがにその大きさには圧倒されました。3,4階の窓から外を覗くと、高所恐怖症気味の私にはちょっと足がすくむほどでした。現地に行って現物を見るということは、やっぱりいいものです。観光写真やパンフレットだけでは分からない発見が、いくつかありました。
何よりも驚いたのは、あの巨大な屋根が固定されていない、ということです。垂木(と言っていいんでしょうか。それ自体、極太の構造材ですが)の先を鉛筆のように削り、軒桁に差し込んであるだけなのだそうです。簡単に言えば、四角形の紙を山折りにして箱にのせただけ、ということですよね。しかし、屋根の自重が半端ではなく、(あたりまえですが)強風でも飛ぶことはないそうです。また、釘などで固定していないため(構造材は木組みと荒縄で縛ってあるだけです)、揺れはするけれど地震にも強いそうです。
他にも、囲炉裏を使わなくなったために燻しができず、茅葺屋根が湿気にやられて10~15年しかもたないこと。集落全体の棟の向きが風通しを考えて並んでいること。などなど、昔人の知恵にはまだまだ教えられるものがありますね。
合掌造そのものには、いろいろな発見や感動がありましたが、集落を歩いている間は、やはり観光地だなという思いが離れませんでした。そりゃあ、そうですよね。ここでは今も人々が普通の生活をしているのです。ヨーロッパなどには多いようですが、世界遺産で今も人の生活があるのは日本ではここだけです。訪なう者とそこに生活する人との思いのギャップというのは、どこでも同じかもしれませんね。生活を維持しながら遺産を守ることの難しさを教えられた旅でもありました。
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